22 点者判者の部屋 

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長屋



   ブライス川柳談話室

2016年11月2日 

Y氏 講義学園祭で休講 

愛車白のミニクーパーブライス長屋来訪 
「雑貨ブイヨンさんの写真 これは素晴らしい」

11月5日

 K.Y. Publishing Inc. 取締役 T氏
「時々(川柳長屋Webページ)楽しんでいます。」
本題は H.ブライスの随筆出版計画

11月6日

 A夫人(第1室のドン・キホーテさん奥様)
・・・素晴らしい風景の写真そして笑いの川柳を楽しく見せて頂きました。主人ももう少し川柳を続けたかった事と思います。・・・

2017年 春分の日 

ブライス春海さん 
半年前 ブライス氏の俳句の本 フランス語で出版に許諾 とのこと

2017年8月23日 

宗片邦義氏 「凄い物つくりましたね。これが完成の暁には裨益するところ大なり。」

23 ブライス研究 生涯 ブライス禅

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Reginald Horace Blyth

生涯

1898年         イギリスに生まれる
第一次大戦  兵役拒否で入獄
1924年        京城帝国大学 外国人教師となる
1927年        鈴木大拙の禅に出会う
第二次大戦 外国人として神戸の収容所へ
1945年       天皇人間宣言を起草
1949年〜    俳句 禅 川柳の英訳 出版 海外で禅と俳句のブーム起こる
1964年10月28日 病床でハワイ行きを希望しつつ 逝去

特記事項としては

(1)昭和天皇人間宣言の起草

第二次大戦終結。 ムッソリーニは民衆に殺され、ヒトラーは自殺。

昭和天皇は? 東京裁判では免責。オーストラリア人裁判長は怒って帰国。アメリカの世論調査ギャラップでは吊るせが7割以上。フィリでは戦争責任で 多数の B、C 級戦犯が死刑となり、ラジオで米兵に戦意喪失ねらいの甘い声で語りかけていたアナウンサーs 東京ローズは全米引き回しのさらし者。

終戦の翌年の年始 天皇人間宣言 と欧米で報道された言葉を発表。流れは一変。

ブライスの起草した文章とされているが本人は一語も語っていない。

終戦後 GHQアメリカ占領軍の組織 占領期日本の統治機構のトップ)と宮内庁GHQの窓口はH.G.ヘンダーソン中佐(日本文学好き)、宮内庁の窓口がブライス。二人の間で発案され 天皇もその意向であると確認後 天皇も見た草案のメモは二人でその場にあった灰皿で焼却。

(2)終戦後のアメリカでの 禅、俳句ブーム 英訳本の著者はブライスアメリカでは有名な学者、翻訳者。物資欠乏の時期なのに ブライスの本は立派な装丁。吉田茂首相の意向であろう。アメリカの対日世論操作の一環。

(3)天皇家との関係

皇太子(平成天皇)の英語家庭教師。兵役拒否の平和主義者が新憲法の時代の皇室には良いとされたのであろう。教科書は Easy Poems  北星堂。薄い本、珠玉の詩集。やさしい詩ばかり。超入手困難。しかし、スティーブンソンの 子供のためのクリスマスの贈り物 定番 Robert Louis Stevenson A Child's Garden of Verses   は入手容易。それからキリスト教色のある詩を除くと ほぼ Easy Poems  。(ネットで売って本は 行間、リズムの取り方とかめちゃめちゃ さし絵も誤解だらけ 詩を理解しない人の編集。 本屋さんで手にとって吟味を)

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ネットで売っている本 変な挿絵 帯のない着物 作者でない人が挿入

4行目と5行目は 一行空ける が 詩 

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singing は playing 遊ぶ  の語感。 重い楽譜持って苦しく無理に歌う挿絵は鑑賞の妨害

4 3 4 3 の metre が見えるように活字を配置すべきです。

ブライスもそこを述べて 一緒に朗読したことでしょう。

韻律はブライスさんには大事で 同じ歌でも 韻律を変え ブライス家だけの調子で家族みんなで歌っていた と春海さんが言ってました。

  

 記者団に「何を教えてますか?」と聞かれ「Life ライフ」と答え物議をかもした。ブライスにとって 生活は詩 詩は生活。「英詩を教えてます」なら問題は起こらなかったでしょう。

 天皇家とは親しい関係 晩さん会 採食主義のブライスは別メニュー、 

皇后「お肉はたべなくともいいのですか?」

ブライス「象だって採食ですよ」

皇后 ほほほほ

 

大磯の家の引き払いの時 荒井良雄教授が電光石火の仕分け

かなりの数の白封筒(宛名なし)は皇室からの手紙 学習院資料室へ

抹茶茶碗 木箱入り 数個 廃棄 天皇家からのお土産? 

 

 

 

ブライスの全体像理解 おすすめは 「回想のブライス

 

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「回想のブライス

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目次 前半

 

 

 

 

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 ブライス

Zen is essence of Christianity, of Buddhism, of culture, of all that is good in daily life of ordinary people. All beauty, all music, all religion, all poetry, is dancing of the mind. Without this dancing of the spirit, there is no true Zen.

禅は詩 詩は禅


川柳は一種の悟りであるから 詩である。
禅はキリスト教のエッセンスであり
仏教のエッセンスであり 文学のエッセンスである。
           

  What is Blyth ZEN ?
Zen means doing anything perfectly, making mistakes perfectly, being defeated perfectly, ・・・
Reginald Horace Blyth said at the beginning of the chapter 'Culture and Zen' in his Twenty-One Zen Essays, published by the Hokuseido Press in 1962.
What is Zen? Zen originated in India, developed in China together with Taoism, and came to Japan as sort of third-hand thing, something which the Japanese themselves did not create. Yet it is Zen in Japan that is Zen at its best, at its most living, most human, and above all, most poetical. according to Blyth, Zen means doing anything perfectly, making mistakes perfectly, being defeated perfectly, hesitating perfectly, having stomachache perfectly, doing anything, perfectly or imperfectly, PERFECTLY.

 

ブライス禅の研究

それは禅の国際化

私も研究論文とか書いてますが、最良のガイドブックは

 

荒井良雄「英国文化における禅」

 

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内容は

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北星堂 2005年 ISBN-590-01190-5




 

24  Senryu ; Japanese Sstirical Verses

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古川柳 ブライス

 

So beautiful,
As though she was born
Without parents.
親もなく生まれたように美しき

By her needle-work
He who was to come
Has not come, it seems.
来る人が 来ぬと見えたる 針仕事

At the sound of footsteps,
The shadow
Divides into two.
足音で 二つに別れる影法師

With your little pads,
What is it, kitty,
You want to say to me? Shouichi
てのひらで子猫よ何を訴える 正一

When I think it is mine,
How light it is,
The snow on my kasa.
わがものと思へば軽し笠の雪


 

25 荒井良雄研究

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「ヘンリー8世」の朗読 1990年 岩波シネサロン

荒井良雄 1935~2015

 映画監督荒井良平の息子。俳優志望であったが父の助言で研究者の道へ。荒井良雄先生、人物評を語るときはたとえ名優ギールグッドであっても 意義をとらえつつ 限界にもふれていた。御父上の話だけは 目が輝き「日本一の映画監督です」と無条件に礼賛。 

 高名なシェイクスピア学者 シェイクスピア劇を全編朗読(朗読ブームの始点)  

(皇室の家庭教師を兼ねる)学習院大学教授 文化放送(一世を風靡した)「百万人の英会話」講師。 とにかく人気者で 学習院女子大の講演時、私は一時間前に大学に到着、入構規制に「荒井良雄の・・」と言い始めたら 数人の出迎えの人々が奥から湧いてきて笑顔で取り囲むのです。先生と私を取り違えたのですが、数秒、幸せな気分になりました。それはいい雰囲気でした。

 

ブライスとの関係

学生時代 ブライスの講義を聴講 教授時代の同僚 ブライス3高弟のひとり。

ブライス家と親交 ブライス次女死去時、大磯の家を長女春海さん(カリフォルニア在住)と処分。遺品蔵書を学習院資料室(手紙等)と日大文理学部図書館(蔵書)に寄贈。春海さんの雰囲気。資質はブライス氏に似ている とのことで 荒井先生と春海さんの会話ははずみ ブライス氏の好きだった英詩を一緒に暗誦。録音してあるのですが・・

著書 「ブライス禅の世界」北星堂 2004年

 

私との関係

博士論文「シェイクスピア能研究」の外部審査員としてはじめてお目にかかりました。廊下ですれ違った時に この人 と直感。英国紳士の風貌。審査の会場では アガサ・クリスティー検察側の証人」の証人のようで 雄弁に論証。もうだめだ、と思いました。博士号取得後は頻繁に手紙をくださいました。年賀状に「後期と高齢者なったので年賀状は今後出しません」とあり たよりは途絶すると思ったら、それからが毎週、毛筆のお手紙が来るようになりました。ブライスの遺品処分にも同行。

 

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最初に荒井先生を知ったのは、鶴舞の古本店で

シェイクスピア演劇上演論」新樹社 1972年

を見つけ シェイクスピア研究で座右の書としておりました。これはすごい本で、日本のシェイクスピア研究の多くは英国の書物の孫引きなのですが、上演経験から有機的に組み立ててある文献。高度の編集能力というか統覚の高峰。若いころ手にいれた本で大家である著者が、生きてみえる、お目にかかれるとは思っていませんでした。