2 ブライス川柳の笑い

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 私どもは 毎日笑いを経験しているが、その笑いはきわめて雑多である。・・・
私どもは ふだん卑俗な笑いを余儀なくされているが

 しかし 心の底では 本当に人生を祝福し、生活の調和をたたえるような
笑いを求めているだろうと思う。

 
           麻生磯次 『笑いの文学』講談社 昭和44年

 

「私の唯一無二の人生を振り返るとき、私の内なる宿命に導かれて、幾つかの段階を通過してきたことに気づく。しかし、その段階は相互に排他的ではなくて、現在まで、どれもが確実に、強力に持続してきた。私の出発点は、生まれながらのアニミズムであって、ワーズワスの詩に全ての発端がある。それから当然のこととして、菜食主義の段階を経過した。菜食主義こそは仏教の基盤の一つであったし、あるべき姿であった。幸運な巡り合わせで、次には俳句に出会った。もっと正確に言えば、俳句の道、俳諧の道に出会った。俳句こそは、情感を排し、知的でなく、道徳的でもなく、審美的でもなくて、純粋に詩的な生命なのである。その次に、あらゆる幸運の中でも最高の幸運に恵まれて、鈴木大拙の著作を通じて、禅に出会った。禅とはバッハの音楽に私たちが聞くものである。その音楽は、苦しみと死、すなわち霊魂消滅をも含めて、あらゆるものは、神の御手からくるということを、私たちに告げている。最後とはいえ重要なのは、川柳との出会いである。これは川柳の道、川柳道という言い方で重みをつけた方がいいだろう。その理由は、あらゆる物事を笑いや微笑によって理解するからであって、それはあらゆる物事を許すことを意味し、私たち自身を、神をも含めて、許すからである。不思議なことに、アニミズム、菜食主義、俳句、禅、そして川柳は、かくも容易に、心地よく、一つに融合している。この年代的段階の順序にも、なにか奇妙なほど、正当性があるように思える。」


ブライス禅語録 荒井良雄作成 より
 笑いについて
仏教では、現世は苦しみであり、厭うべきものである。キリスト教と仏教は、どちらもかたくななまでに、嫌悪すべきものを愛せ、敵を愛せ、私たちを悩まし破壊する事物や生物や人間を、哀れに思えと諭す。ユーモアは、逆に、敵を笑いものにし、それ以上に友人を笑いものにし、神や悪魔を笑いものにし、私たち自身を笑いものにする。笑うことが、実は、愛することなのである。






Japanese Life and Character in Senryu ブライス訳 古川柳
また今度儲けなさいと値切るなり

"Make a profit
  On the next sale," she says,
Haggling over the price.

貧乏も馴れれば月も花もあり   十思

When got used to,
 Poverty also
Has the moon and flowers. Jisshi

何事も夢にしておく年になり  松魚

I have reached the age
   When all things
Seem but a dream.    Shogyo

元日は冥土の旅の一里塚

New Year's Day
Is a milestone
 Of the journey  to Hedes.

名馬とは知らず名馬はよく走り  五呂八

Unaware it is a splendid horse,
How well it runs,
The splendid horse!     Gorohachi

花咲いていゐても雑草引き抜かれ    宏方

Though they bloom,
The weeds
Are pulled up.  Kobo

掃除する人を木の葉が呼び戻し

The fallen leaves,
Call the sweeper
Back again.

何もかもなくして仏様になり

Losing everything,
 He became
A Buddha.

むっとして もどれば庭に柳かな

When I come home moody,
The willow tree
In the garden!

我ときて 遊べや親のない雀

Come and play with me,
Fatherless, Motherless
 

お出には 及ばぬことを 老いらくの
 はるは来にけり 春はきにけり

    It was not necessary
        That it should come,
    but it came,
        Spring came,
        To my old age.

釈迦といふ いたづらものが世に出てて
   多くの人をまよはするかな

   Shakamuni
that mischievous creature,
Having appeared in this world, -
How many, many people, alas,
Have been misled by him!


あきらめましたよ 何様あきらめた
 あきらめられぬとあきらめた

"I have resigned myself."
"Resigned yourself to what ?"
"I have resigned myself to
 Never being resigned."

一寸先は闇

An inch ahead is pitch darkness.

目も口程に物を言ふ

The eyes say as much as the mouth.

落書きに名筆なし

Scrbbling on the wall is always in a poor hand.

まだ早いが遅くなる

Saying "It is too early," makes it too late.

人に物ただ遣るにさえ上手下手

Even in just giving things to people,
There's a clever way,
And a clumsy way of doing it.

碁敵は憎さもにくしなつかしき

His oppnent at 'go'
    Hateful, yes,
 but dear also.

子を持った大工一足おそく来る

    The carpenter
        Who had a baby,
    Comes a little later.

恋むこの下着はみんな直しもの

   Her beloved husband,
     His underclothes
    Are all patched!

A rich girl loved a man who was poor, so much that she overrode the objection of her parents and married him (he entered her house as an adopted son.) To her surprise and discomfiture, she found that his underclothes were all darned; nothing underneaty was new.

どの宗旨にも仲のよい蓮の花

   The lotus flower
      Is on good terms
   With all the sects.

あつく礼 いわるる恋は出来ぬなり

 She thanks him for so politely,
will not be accepted.