5 川柳 家守選

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ブライス川柳 お手本の句

 

国の母 生まれた文を抱き歩き


花嫁の みやげは里へ生き菩薩


寝ていても うちわの動く親心


ひょいと立つ 子に家中が立つ


背比べ手をやわらかに下げている


うれしがり座敷を歩く紅緒下駄


糸巻きに可愛いげんこ二つだし


紙びなに相撲取らせる男の子


うつくし過ぎて入れにくい傘


馬子唄に二人ひれ伏す麦の中


鶴折って恋しい方へ投げてみる


母の手を握ってこたつ仕舞われる


ほんのりと娘返事を顔に出し


たらたらとおさらば言わぬ女客


孫どもの荒いあんまが御意にめし


医者衆は辞世をほめて立たれけり


安弔ひの蓮のあけぼの


なきなきも良い方をとる形見分け


   古川柳 選 家守

 

 

以下 参考資料

  

   サラリーマン川柳 家守選

 

やっと縁 切れた上司が再雇用

叱っても 褒めても返事は「ヤバイッス!」

ゴハンよ」と

  呼ばれて行けば

      タマだった

ボディコンを

  無理して着たら

     ボンレスハム

「課長いる?」

  返った答えは

    「いりません!」

 

     昭和川柳史  

五・一五事件へ女房説を立て    塚越迷亭
ヒットラーあすを背負って立っている  光庵
戦争へありとあらゆる人動く    小田夢路
挙手にこやかに戦闘帽の女子学徒  小田夢路
送別会もう兵隊の声となり       春洋
入営の日から除隊の日を数え     一文字
アナウンス声が震えてマニラ陥つ    大助
米英を撃つ男装の宝塚       高山武士

廃兵・傷痍軍人
空っぽの袖よその子がまたのぞき  東野大八
鬼にして傷士のガーゼ詰換える(中支) 照子


     特攻出撃


雨降って今日一日を生きのびる 
特攻隊神よ神よとおだてられ
特攻へ新聞記者の美辞麗句
七洋に桜花飛込む水の音
(桜花:特攻機の機種)
合作川柳百首 及川肇 遠山善雄 福地貴 伊熊次郎



  21世紀 投資川柳  家守選


教えてよ 上がる銘柄 君の名は 

         かるぼ

  イギリスが
     もおイイYouと 
       これじゃだメイ  
              いっしき


惚れ込んで 奈落に落ちこむ 恋と株  
           akikan20


株投資 嫁選びほど リスクなし  
           FXマン


授業料 言い聞かすには 多すぎる  
             gwdds380


下手すぎて ワクチン欲しい投資熱 

空気さえ 読めぬ夫が 相場読む   
              さくらん

円高で 外貨ほしいが 縁(円)がない 
            1円王子

ごみ株に 夢をたくして 全財産    

買えば下げ 売れば上がるの 何でなの 

              Poco


神様に なれば今頃 大富豪      

              Rsun


     家守選 秀句

それからの日記真っ白恋終わる   中川みさを
世界一怖い乗り物体重計      花野ひかり
夢に見た王子は中古車乗ってきた    円亜純
なんでなの彼氏できたらモテ始め   水戸ふみ
アイドルにみんな死なれたおばあちゃん つねこ
いい男だから奥さんいるけどね    ゆきんこ
嫁いだが実家の墓に入りたい       チコ
店員のすすめる服で我が身知る     花愛子
あきらめを教えてくれた息子たち  加賀千代婆
子供用車椅子その小ささよ       金平糖
亡き母の工夫が残る台所       加藤庸子
実家って代が替われば他人の家    生憎の雨

  女子会川柳


入社時は 腰掛け今は 命がけ
居るのなら とってください その電話
5時までは 体の調子 いまひとつ
「調子どう?」 あんたが聞くまで 絶好調
ストレスは 仕事じゃないの あなたなの

10年目 部長が席まで 来てくれる
「俺がやる!」 その後始末 誰がやる?
誘われた 行くのはいやだ でもタダだ
お土産を 日頃のお詫びと 受け取られ
        「女子会川柳」 サンケイリビング新聞社 より引用

  研究者川柳


真っ白い 白衣の意味は まだ新人 
          hedgehoge
月日過ぎ 望みを希釈した希望
          でるまと
私より 食費が贅沢 ips
                          Yanagi
失敗は 試薬の値段で 叱られる
          湯本タマ

審議待ち 根回ししとけよ バカ教授
衛生所 浅田の遺体も解剖し (福島)
      2句 泉康雄の研究者川柳
科研費が 書けん日など こぼす秋
      「川柳 in the ラボ」

  介護女子会

寝たきりも 疲れるでしょう おとうさん
            さくら
徘徊の 父を追いかけ 秋を知る
             柴山
果てしない 円周率や 介護する
筋トレ後 整形外科とは なさけなや
         熊倉正宏
バレリーナ 見ているだけで 足がつり
         植田茂子
夢ん中 ドクターヘリで 天国へ
         佐藤孝子


 ホームレス 句会


クリスマス
水道水で
乾杯だ    沢野健草 

寝袋に 
花びらひとつ 
春の使者    沢野健草 

悪いなあ 
仲間で占領 
木のベンチ   沢野健草 

ホームレス 
長すぎたのか 
ホープレス   山本一郎 

服支給  
バーゲンみたいな 
争奪戦      村中小僧 

一着の 
防寒服が 
宝物       村中小僧 

ホームレス 
なって倍増 
お友達      髭戸 太 

百円で 
飲めるチューハイ 
届かぬ手     髭戸 太 

友はある 
つまみと酒が 
あったらなー   髭戸 太 

ホームレス支援雑誌「ビックイシュー」より引用 

解釈と鑑賞 そして弁明   家守 

ブライス川柳はクリスチャン川柳でもあります。 
釜ヶ崎の本田哲郎神父によれば「小さくされた者の側に立つ神 ・・!  
サービスを受けねばならない側に、主はおられる。」 
本田神父訳の聖書によれば、「イエスはまわりの人々から 食い意地のはった酒飲み と呼ばれていた。ファーゴス、オイノポテース。"ファーゴス"とは"いつも腹をすかせ何かしら食べ物を見つけるとつい手がでてしまう人" オイノスとはブドウ酒。ポテースとは「飲む人」威勢のいい大酒ではなく、みじめでなさけない語感の言葉です。 
ホームレスの人々は川柳から察すると、ファーゴス・オイノポテース。 

  

   朝日新聞 川柳


新任地 まず確かめる夜の地図
        よしひさ 
点滴の最中に読む一行詩 
         幸風 

   中日新聞 あすなろ川柳


やきいもでふゆのさむさをふきとばす 
         石原彩 
寒い冬 かぜなんかにはまけないぞ 
         市川愛萌 

   よみうり時事川柳 


EUドーバー海峡冬景色 
      田原痩馬 
面白く段々怖いトランプ氏 
      高橋敬三 

   JCP 赤旗 

国防軍 
  おっと誤植だ 
    「国亡軍」 
   ポーケン師匠 

参院選 棄権するのは危険です 
      彩山蔵人 

 

      時事川柳 (東京新聞)2021/2/7

 

忘年会 やった総理が叱責し 

      中村 滋

原発辺野古も五輪も突き進む

       熱田和博 

オリパラは 中止することに 意義がある

       崎田栄一

失言王五輪憲章踏み躙り

       長谷川 節

この春は 肩身の狭い 花粉症

       ポンちゃん